・第二次世界大戦とディズニーの軍事訓練、プロパガンダ映像
第2次世界大戦が勃発する頃、ウォルトディズニーはアニメーションが戦争に貢献できることに気付いていました。その一つが訓練用映像の制作です。まず制作したのは「フラッシュリベットの4つの方法」というリベットの打ち方に関するアニメーション映像でした。
実写では仕組みなどを見せるのが困難だったため断面図のイラストを使ったアニメーションはとても分かりやすく効果的だったのです。これはロッキードエアクラフト社と共同で作ったもので航空機生産の教育のひとつに役立ちました。
その後1941年に真珠湾攻撃によって日本が参戦するとアメリカ国内の空気は一変します。国内が戦争のムードで一色になり、ディズニー社へも軍から数々の映像の制作依頼が舞い込んできました。
まず依頼されたのは海軍からで航空機の見分け方のアニメーション映像でした。通称WEFTと呼ばれるこの映像は高く評価されディズニーに数々の仕事を呼び込むことになります。またイギリス軍向けに大戦車ライフルの使用法など様々な訓練映像が作られています。
ディズニーのアニメーションは訓練用映像だけでなくカナダの戦時国債のための映像なども含まれこれらは高く評価されました。1942年に財務省の依頼で作成されたドナルドダック主人公の”新しい精神(New Spirit)”という映像は税金がどう戦争に影響するかの重要性を説明するものでした。この映像は全米の映画館で公開され納税に髙い効果をあげました。
また訓練や宣伝映像だけでなく国民の戦争参加や貢献への士気をあげるためのプロパガンダ映像も作られました。ヒトラーを比喩するものなど数々の映像が作られています。日本やイタリアが敵の内容の映像も作られました。
ディズニーのキャラクターの中でもミッキーは戦争を通して3つの作品にしか登場していないが、ドナルドは1942年だけで3つも軍の映像に登場している。『ドナルドの入隊』、『ドナルドの透明人間(The vanishing Private) 』、『ドナルドのパイロット(The Sky Trooper)』である。1943年にはアカデミー賞受賞作品である『総統の顔(Der Fuerer’s Face)』に登場しドイツ降伏後の1944年には『ドナルドの襲撃部隊(Commando Duck)』で日本軍相手に戦っている。