
ディズニーと世界大戦。まったく関連のなさそうなこの2つですが実は大きな繋がりがあったことをご存じでしょうか?こちらではディズニーと世界大戦の繋がりについて紹介していきたいと思います。

ウォルト・ディズニーと第1次世界大戦。
ディズニーの創業者であるウォルト・ディズニーは第1次大戦中の16歳の時に愛国心から軍に志願しました。しかし若すぎるため拒否され、その代わりに赤十字に入り救急車の運転手として従事しました。その後、第一次世界大戦が終結した後はアメリカに帰国しています。その後1923年に後に兄と一緒にディズニー・ブラザース・カートゥーン・スタジオを設立しました。これが今の有名なウォルト・ディズニー・カンパニーとなります。
愛国心の強かったウォルト・ディズニーのと同じように、現在のディズニー社も退役軍人への厚い支援を行なっている企業のひとつです。第二次世界大戦が始まるとディズニー社はアニメーションとデザインという自社の得意分野で積極的に戦争を支援していくことになります。

・第2次世界大戦でのディズニーの訓練映像とプロパガンダ
第2次世界大戦が勃発する頃、ウォルトディズニーはアニメーションによって戦争に貢献できると考えてました。そのひとつが訓練用映像の制作です。まず制作したのは「フラッシュリベットの4つの方法」というリベットの打ち方に関するアニメーション映像でした。
実写では仕組みなどを見せるのが困難だったため、断面図をイラストで説明したアニメーションはとても分かりやすく効果的だったのです。これはロッキードエアクラフト社と共同で作ったもので航空機生産の教育に役立ちました。
その後1941年に真珠湾攻撃によって日本が参戦するとアメリカ国内の空気は一変します。国内が戦争のムードで一色になり、ディズニー社にも軍から数々の映像の制作依頼が舞い込んできました。

まず依頼されたのは海軍からの航空機の見分け方に関するアニメーション映像でした。通称”WEFT”と呼ばれるこの映像は高く評価され、ディズニーに数々の仕事を呼び込むことになりました。また大戦車ライフルの使用法をイギリス軍向けに作成するなど他にも様々な訓練映像が作られています。

ディズニーの作成したアニメーションは訓練用映像だけではありません。カナダの戦時国債の宣伝映像なども作られ、これらは高く評価されました。1942年には財務省の依頼で作成されたドナルドダック主人公の”新しい精神(New Spirit)”という映像が作られています。これは税金がどう戦争に貢献するのかという重要性を説明するものでした。この映像は全米の映画館で公開され納税に髙い効果をあげました。
また訓練や宣伝映像だけでなく、国民の戦争参加や貢献への士気をあげるためのプロパガンダ映像も作られました。ヒトラーを面白おかしく比喩するものなど数々の映像が作られています。同様に日本やイタリアが敵の内容の映像も作られました。
様々なディズニーキャラクターを使った映像が作成されましたが、今大人気のミッキーは戦争を通して3つの作品にしか登場していません。しかしドナルドダックは1942年だけで3つも軍の映像に登場しています。作品は『ドナルドの入隊』、『ドナルドの透明人間(The vanishing Private) 』、『ドナルドのパイロット(The Sky Trooper)』などがあります。ドナルドの人気は高く、1943年にはアカデミー賞受賞作品である『総統の顔(Der Fuerer’s Face)』に登場し、ドイツ降伏後の1944年には『ドナルドの襲撃部隊(Commando Duck)』で日本軍相手に戦っています。

ディズニーキャラクターと標章デザイン
ディズニー社の第2次大戦への貢献はアニメーション映像にとどまらず部隊の標章のデザインでも活躍しました。標章とはよく軍の兵士たちが上着の肩につけているキャラクターと兵器などが描かれたパッチや、航空機に描かれた一部のノーズアートなどです。これらもディズニー社のデザインのものがありました。
戦争を通してディズニー・スタジオはおよそ1200もの標章をデザインしています。それらは水上艦隊から爆撃飛行隊、教育学校、従軍牧師部隊、女性部隊そしてイギリス軍、自由フランス軍、自由ポーランド軍などなど数多くの部隊のために作られました。これらにも人気のディズニーキャラクターがあしらわれています。これらの標章はディズニーより無償で様々な部隊などに提供されました。これがウォルト・ディズニーの戦争への貢献のひとつであり、士気の向上をもたらしていたのです。
初めて公式にディズニーが軍用標章をデザインしたのは1939年6月に海軍予備役のパイロット、バート・スタンリーによって頼まれてでした。それはカリフォニアのサンディエゴで進水した新しい空母、U.S.Sワスプに編成された第7飛行隊のためのものでした。この依頼をディズニースタジオは喜んで引き受け、すべての部隊の飛行機にそのデザインが描かれました。デザインはスズメバチをあしらったものでした。

・ドナルドダック
ドナルド・ダックは部隊標章の中でももっともよく使われました。彼は216個もの部隊標章に描かれておりその次に多かったのはプルートで46個に登場しています。3番目はグーフィーでこちらも幅広く登場しています。ミッキーマウスは4番目の37個以上で主に国内の部隊のデザインとして使われました。

・プルート
ディズニーのキャラクターの中で犬はプルートだけで55の部隊標章に使われています。ドナルドダックの次によく使われたキャラクターです。グーフィーは危険な役割を与えられた部隊によく採用されました。ある標章ではプルートは砲弾に上に乗っていてそれを誘導していたり、また別の標章では泳いで機雷を回収しています。ブルドッグはその頑固さからから人気があり、セントバーナードはアゴの下にブランデーの小たるをぶら下げレスキュー部隊のマスコットとして使われている。

・ミッキーマウス
ディズニーといえばミッキーマウスですが、彼の愛嬌のある優しそうなキャラクターは戦闘部隊のデザイン向きではありませんでした。そのためミッキーの描かれた部隊標章はドナルドダックやプルートに比べて少なかったのです。そのため第2次大戦中ミッキーの描かれた標章は35個しかありません。それらのほとんども国内の非戦闘部隊に関するものでした。

・ポスタースタンプとマッチカバー
ディズニー社による軍のための部隊標章のデザインは広く人気を獲得しました。そのため1942年2月のロサンゼルスエグザミナー誌は新たにこれらの部隊標章をポスタースタンプにしています。そして児童用にそれらのスタンプを集めて貼り付けるアルバムを企画しました。。2つ目のアルバムは3月に発行されエグザミナー誌には多くの広告が設けられた。このシリーズではカラーのスタンプを250個以上発行している。

ミッキーとドイツ空軍
初めてディズニーキャラクターで標章に使われたのは世界的に最も人気だったミッキーでした。そしてそれはスペイン内戦中のドイツ空軍においてのことになります。バトル・オブ・ブリテンで有名となったアドルフ・ガーランド中将が用いていたのです。彼はドイツ人義勇兵のコンドル軍団でその当時自身の機体であったHe51戦闘機にミッキーマウスのエンブレムをスペイン内戦中描いていました。彼はこのミッキーマウスのエンブレムを第2次大戦中もずっと自分の機体に描いていました。
再生リスト
https://www.youtube.com/watch?v=bn20oXFrxxg&list=PLhqssh3XExqRPrmWpLRaXcPYpJisWdhkx
・The New Spirit
https://www.youtube.com/watch?v=eMU-KGKK6q8&t=97s
・WEFT System
https://www.youtube.com/watch?v=erhfgLiqN10
・B17 Gunnery
https://www.youtube.com/watch?v=aoHOVUKOc0M
・Donald Commando Duck
https://www.youtube.com/watch?v=-BHA1I9nYew